白状すれば、私は一時期占い師をやっていた。
カウンセラーとして仕事を始めるに当たって、
どの程度自分が通用出来るかを試すためである。

しかし、占術なんて何もない。
無くても出来たのが「霊感霊視占い師」
詰まるところ、インチキ占い師である。

これがどうしたことか、良く当たると評判になり
受付5分で1日の予約が埋まる程になったものだ。

大概は不倫や片思いの恋愛相談だが、
中には聞いてるのもやり切れない程に深刻な相談もあった。

既婚男性に恋をして、相手の奥さんを呪って欲しい　とか
意地悪な同僚を左遷させて欲しい　等の相談には困った。

ただ、最も困ったのは
占い師依存症になってしまう人たちである。

正直、依存症のお客様は稼がせてくれる良い客だ。
「彼へのメール文はこれでいいですか？」や
「上司への報告はいつすればいいですか？」などなど
すべて占い師に聞いてからでないと、行動出来なくなってしまう。

そんな人たちを、何とか占いから脱出させようと
変な頑張り方をしたものだ。

誰かの了解を得ないと行動出来ない。
自信が持てない。
そんな人たちに何が出来るか…と考えた。
自分の中から答えを出せるようにすること。
悩みのループから、するりと出られるようになる方法。

そこで行き着いたのが、こちらが答えをあげるのではなく
自分の中から答えを見つけられるヒプノセラピーだった。

以来、徹底的にヒプノセラピーを勉強し
さらに心理療法の要とも言えるNLPのマスターコーチも取得した。

まだまだ駆け出しセラピストだけども
相談に来られるお客様方に対しては、
強い手応えを感じている。

自分で答えを出せるけど、ちょっと今はそれ出来ない…
と言う人たちを照らす、一条の淡い光のような
道しるべのような存在になりたいと思っている。

少なくとも、今はインチキの後ろめたさは感じないで済んでいる。